特別支援教育

特別支援教育特有の課題 今求められる改善点とは

この記事では、
特別支援教育に関する課題についてまとめています。

特別支援教育には特有の課題が存在しています。
そのため特別支援教育の対象者の中には、
長期間にわたってマイナスの影響を受け続けている者が存在します。

現在存在している課題を把握することで、
教育現場だけでなく社会全体で改善していくことが可能になるでしょう。

本記事では特別支援教育に関する問題を、
幅広く考察していきます。

またTwitter₍@maroandmeru₎でも教育問題について扱っていますので、
良ければフォローお願いします。

特別支援教育現場には特有の課題が存在

文部科学省によると、
平成29年度に特別支援教育を受けている幼児児童生徒数は、
15,014,459人となっています。

特別支援教育の内容には、
特別支援学校在学者・特別支援学級在籍者・通級による指導を受けている者が含まれます。

特別支援教育に関する専門性の不足

特別支援学校をはじめとして、
特別支援教育の現場では人手不足が深刻です。

特に専門性をもった教員の育成・確保は喫緊の課題と言えます。

もし、自分の子供の数学の授業を国語の先生が教えていたらどうでしょうか?
「そんなことはあり得ない!」「ちゃんと教えられるか心配・・・」
このように思うのではないでしょうか。

実はこのような状況が特別支援学校では起こっています。

文部科学省は、
平成29年度特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査結果について」という資料を公表しています。

この資料によると、
特別支援教育関連の教員免許をもたずに、
特別支援学校で勤務している割合が18%に上ります。

特別支援学校の教員免許は、
視覚・聴覚・知的・肢体不自由・病弱の5領域に分かれています。

指導する子供との障害種のミスマッチを含めると、
特別支援学校で勤務する教員の22.3%に専門性が不足していると言えます。

「免許を持っていない先生が子供を教える」という状況が現に起こっているのが実情です。

また、特別な教育的配慮が必要な子供がいるのは、
特別支援学校だけではありません。

通常の学級において、
「知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合」は、
6.5%に達するという調査結果があります。(参考資料:文科省データ)

特別支援教育に関する知識・技能の習得は、
教員になるためには必須事項になっています。

以下の記事では、
教員に特別支援学校教諭免許状取得を義務付けるべき理由をまとめています!

【関連記事】 >>> 教員に「特別支援学校教諭免許状」の取得義務を課すべき理由を考える!

特別支援学校の人手不足

特別支援学校はとにかく人手不足です。
先ほど専門的な知識をもった教員数が少ないという点を指摘しました。

それに合わせて、
特別支援学校には通常学校よりも多くの教員が必要になります。

そもそもなり手が少なく、
必要とされている人数が多い
というダブルパンチ状態が続いています。

一人の教員が担当する生徒数には目安が設定されています。

これは「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」で定められています。

小学校 中学校
同学年の児童で編成する学級 35人(1年生)

40人(2~6年生)

40人
複式学級(2個学年) 16人 8人
特別支援学級 8人 8人
特別支援学校(小・中学部) 6人(重複障害3人) 6人(重複障害3人)

(表は「学級編制の仕組みと運用について(義務)」を基に著者が作成)

上記の表のように、
通常学級と特別支援学級・学校では必要とされる教員数が異なってきます

特別支援教育の対象となる生徒には、
重度の食物アレルギー等ミスの許されない子供も多くいます。

一人の教員が多くの生徒を見ることは、
安全性の面でも難しいものがあります。

加えて通常学校でも、
少人数学級・授業を導入する学校が増えているのが現状になります。

教育の分野では教員数が足りないからと言って、
正規採用を大幅に増やすこともできません。
ますます臨時採用や非常勤、再任用の教員の役割が大きくなることが考えられます。



就職率の低さ

特別支援教育の課題を挙げる際に欠かすことができないのが、
進路すなわち就職問題です。

平成29年度の特別支援学校高等部卒業者数は21,292人になっています。
この中で就職した生徒の割合が6,411人(30.1%)です。

進学者、教育訓練機関等に進んだ割合がそれぞれ5%未満となっています。
全体の6割強が社会福祉施設等に入所・通所しています。

特別支援学校の高等部は、
小学部・中学部とは様相が異なります。
一般に高等学校には特別支援学級は設置されていません。

従って将来的な就職を考えて高等学校に入る際は、
普通学級に受験をして通常学級に在籍する必要があります。

高校入学時に大きな選択があることになります。

定型発達と言われる生徒たちと通常学級学ぶか
特別支援学校で専門的に教育を受けるかです。

参考までに平成29年度の賃金構造基本統計調査結果によると・・・
高卒の平均初任給額は17.9万円
大卒の平均初任給額は20.6万円です。

一般的な高校と大学でも初任給で2.5万円強の差があります。

これらに加えて、平成24年版障害者白書によると
事業所で雇用されている者の賃金の平均月額は
常用労働者全体が26.4万円
身体障害者の賃金の平均月額は25.4万円になります。

身体障害者に関しては健常者に比べると若干給与は下がるものの、
大卒の初任者よりはかなり多い給与を得ていることが分かります。

これが精神障害者・知的障害者になると全く状況は異なります。
政府の同データでは、
知的障害者は11.8万円、精神障害者は12.9万円です。

これらの数字は自立した社会生活を送るために十分とは言えません。
離職率に関しても、概ね高い数値がデータとして公表されています。

離職率

障害者職業総合センターは障害者の定着率に関して、
以下のような集計結果を示しています。

就職後1年時点の定着率は、身体障害 60.8%、知的障害 68.0%、精神障害 49.3%、発達障害 71.5%であった。

厚労省は新卒者の3年後の離職率について公表しています
事業者規模別・学歴によってかなり差があるデータになっています。

大卒では5人以下の事業所勤務者の離職率が最も高く、
27.9%が3年以内に離職しています。

高卒では同じく5人以下の事業所の離職率が最も高く、
35.6%です。

障害者のデータは就職後1年間での離職率ですので、
かなり高いことが分かるかと思います。

職場定着に向けた支援は今後更に必要になってくると言えます。



障害者の生活の質の向上が必要

障害をもっていることで、
社会生活を送るにあたって大きなハードルがあります。

学業面でも勤労面でも、
本人の努力だけでは解消し切れない障壁があるのが現状です。

仕事に関しては相談窓口の周知徹底など、
サポート機能の充実を進める必要があります。

教育面でも専門性の高い教育をおこなえる人材の確保は急務になります。

労働量の差や学力的なハンデがあることは事実ですが、
社会全体で障害者をサポートし、
共生していくことができる社会の構築は先進国として必須の要件ではないでしょうか。

関連記事はこちら

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA