2017年、小学生の40%以上が塾に通っているというデータがあります。(家庭教師を含む)
地域差はあるものの、
東京都では半数を越える小学生が通塾しているそうです。
中学生になると、全国平均で60%強、
神奈川県では74%と、4人に3人が通塾していることになります。(家庭教師を含む)
健康上の理由や金銭的な理由で、
通塾困難や家庭教師が雇えないという家庭もあることを考えると、
学校以外で学習の機会を確保することは多数派になっていると言えます。
この傾向は今後も続いていくと思われますし、
もはや塾ブームではなく、通うことが学習の文化に変わりつつあります。
しかし、これだけ学校外での教育の需要が増えてくると、
学習塾など教育産業全体として競争が激化してくることは当然です。
学校外の多様な学習方法
現在、学習塾には集団式の授業形態に加え、
段階別指導、少人数指導、個別式、個性別といったように
様々な特徴を持った塾が存在しています。
通塾形式に加えて、
家庭教師という選択肢も依然として選ばれることが多くあります。
こうなってくると・・・
「塾にするのか家庭教師にするのか、はたまた通信教材という手段もあるようだ・・・」
などと困惑してしまうこともあるかと思います。
そこでこの記事では、
現在高校で非常勤講師として働きながら、
塾講師、家庭教師を兼任して感じた、
「少人数指導の学習塾のメリット・デメリット」について紹介させていただきます!!
是非とも学校以外での学習を始めたいと考えている方や、
現在の塾、家庭教師を変更したいと考えている方の参考になればと思います。
少人数指導塾のメリット
それでは早速、
少人数指導塾のメリットについてみていきます。
①一人一人に目が届く
少人数指導の学習塾のメリットとして最初に挙がるのが、
一人一人に細やかな指導が行いやすいという点かと思います。
集団授業と異なり講師対生徒の割合が近いため、
子どもの進度に合わせて指導を行ってもらいやすいという利点があります。
子ども側から見ても、分からない箇所を質問しやすい環境を作ることができます。
同時に講師と授業内にコミュニケーションを交わす時間も確保できるため、
お互いに信頼関係を築いたうえで、
学習を進めていくことができるようになります。
②自分で考える時間も確保できる
二つ目のメリットとして考えられるのが、
子どもが自分一人で考える時間も確保できるという点です。
この点は一つ目のメリットと相反するようですが、
1対1の完全個別指導の塾や家庭教師であると、
講師が子どもに対して教え込んでしまいがちになります。
そうすることによって、少しでも手が止まると講師が介入してしまい、
自分で考えるという習慣が身につかなくなってしまいます。
子どもが自分で教材やノートを振り返りながら学習することによって、
問題解決能力が育まれる機会を時に奪ってしまうことにもなります。
反対に、学校の授業のように一斉授業であると、
問題が分からないままでも授業が進行していくので、
子どもが自分の力で考えずとも解説が行われ次の内容に入ることにつながります。
そう考えると少人数指導というのは、
子どもが自分で考える時間と、
教わる時間の両方が確保できる絶妙なバランスで成り立っていることになります。
自分で試行錯誤しながら、
分からない箇所をピンポイントに教わることができるのが魅力的なポイントかと思います。
③社会性が身につく
三つ目のポイントが、社会性も身につけられるということです。
これは①、②から言えることですが、
講師との距離が近いため自分でどんどん質問しやすい環境が提供されます。
その中で、自分の分からない点を講師という自分より年上の人に聞くという経験をすることができます。
その上で1対1ではないため、
自分が常に講師を独占するわけにはいきません。
他の人に教えている時に割り込んで聞くことはできないため、
講師が自分のところに来てくれるまで何をするべきか、
また次に来てほしいと要望することによって、
主張訓練をしていることにもなります。
机上の学習だけではなく、
集団の中で(この場合は小集団)どのように振る舞うかも学ぶことができるのも、少人数指導の特徴であると思います。
デメリット
続いてデメリットついてもみていきましょう。
マイナス面をしっかり理解することで、
他の形式の塾と比較して考えることもできます。
①子どもと講師の関係性が構築されていないと効果的でない
この点は、他の塾や家庭教師にも言えることですが、
子どもと講師との間でしっかりとした関係性が築かれていないと、
少人数指導の場合効果が減ってしまいます。
子どもが質問しづらいような講師、
解説が分かりにくい講師にあたってしまうと、
せっかく授業を受けても理解できないまま終わってしまいかねません。
少人数指導の場合は、解説が分からなくても分からないと言えず、
その後の問題が解けないと気まずい思いをしかねません。
学校のような大人数の場合は、
分からない子どもがいても大勢に向けて授業を行うため、
分かる子どもも当然います。
ですので基本的にはそのままどんどん進んでいきます。
家庭教師などの1対1であれば、
明らかに説明後も手が進みませんし、
分からなければ手取り足取りになるため、膠着することは案外ありません。
それに引き換え少人数指導の場合、
解説を受けて問題を解きます。
その間に講師は他の子に解説に行きます。
解説が分からなくて問題が解けないまま時間が経ち、
講師の先生が戻ってきます。
説明を受けたのに分からなかったことが講師にも伝わり、
気まずい空気が流れたり、
「さっき説明したよね?」「分からなかったら聞いてよ」などと言われてしまったりすることも考えられます。
②学力が突出して高い子には中途半端
個別指導のデメリットとして考えられるのが、
いわゆる進学校に進学したい、
また進学校に通っていてどんどん先に進みたいという子には、
中途半端な環境であるということです。
これはメリットのところとの関連性もあるのですが、
既に自力で既習事項をうまく活用しながら、
難問を解いていけるという子には、
わざわざ一人で考えさせる時間を確保してあげる必要性がありません。
むしろ、どんどん知識を詰め込んでいってあげて、
その中から取捨選択することを練習する必要があります。
それに対して、勉強が苦手な子は考え方から習う必要がありますし、
そもそも問題を解くために必要な知識が不足していることがほとんどです。
したがって、学力の高い子は集団授業でどんどん先に進めるか、
家庭教師などの1対1で個に応じて弱点を補ったり、
試験対策を行う方が効果的だと言えます。
ですので、学年の上位1割に入るような子が、
積極的に少人数指導を選択する必要は無いと思います。
少人数指導は学習+教育的な観点も含んでいる
ここまで、少人数指導のメリット・デメリッについて書いてきましたが、
少人数指導の塾は単純に勉強だけ学ぶというよりは、
副産物として教育的な役割を持っているように思います。
また、少人数指導の塾はその塾ごとに特徴が色濃くあると思います。
学年もばらばらに少人数を形成している塾や、
教科、学年によって少人数で行う塾など、
集団指導の塾と比べてかなり個性豊かな経営をしている塾が存在しています。
まずは資料を請求してみたり、
可能であれば体験授業を受けてみたりしてから入塾されることをお勧めします!!