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【教育改革】部活動指導員がもたらすメリットと課題

この記事では「部活動指導員」に着目して、
課題を考えることによって、
より良い制度にしていくにはどうしたら良いのかを考えていきます。

働き方改革が進んでいる日本社会において、
平日では、部活動を見たら自動的に勤務時間を超過し、
土日に行う際には休日出勤を強いられます。

そんな部活動において、
一石を投じる制度変更が平成29年4月1日より施行されました。
部活動指導員」の導入です。

部活動指導員を有効に利用できれば、
教職員にとっても負担軽減になり、
新たな雇用を生み出すことにも繋がります。

部活動指導員ってなに?【教育改革】

まず初めに部活動指導員についてご紹介します。
部活動指導員の役割₍職務₎ついて以下のように定められています。

中学校、高等学校等において、校長の監督を受け、部活動の技術指導や大会への引率等を行うことを職務とする

参考資料:部活動指導員の制度化について

今までも外部指導者といった形で、
学校関係者でない人に部活動を教えてもらった経験のある方はいると思います。

部活動の顧問が必ずしも種目に専門性をもっていない場合も多くあります。

生徒の競技力向上や安全性の担保という観点からも、
技術的な指導を行える外部指導者の存在は大きいものでした。

それでも従来の位置づけでは、
「外部指導者のみ」による大会等への引率は認められていませんでした。
練習試合や遠征などには顧問の引率が必須だったわけです。

責任の所在がはっきりしない点が、
外部指導者をこのような位置づけに留めていたとされています。

一方で、学校の教師の立場に立つと、
日頃の練習は外部指導者が中心に見てるのに、
責任だけは背負わされる形になります。

学校の活動である以上当然ですが、
これでは負担軽減にはなりません。
それだったら自分で見たほうがすぐに問題に対処できるということになります。

こういった観点から、
部活動指導員の職務を以下のように定めました。

実技指導、
安全・障害予防に関する知識・技能の指導、
学校外での活動(大会・練習試合等)の引率※3
用具・施設の点検・管理、部活動の管理運営(会計管理等)、
保護者等への連絡、
年間・月間指導計画の作成、
生徒指導に係る対応、
事故が発生した場合の現場対応 等

※3 大会の主催者である中体連や高体連、高野連等において、関係規定の改正等を行う必要がある。

今まで顧問が担当していた職務を丸々委託できるようになったのです。





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部活動指導員がもたらした効果

部活動指導員が導入されることで、
教員の業務軽減につながることが期待されています。

部活動指導員は、部活動の顧問として技術的な指導を行うとともに、
担当教諭等と日常的に指導内容や生徒の様子、
事故が発生した場合の対応等について情報交換を行う等の連携を十分に図る。

このように、部活動の顧問として部活動指導員を配置することもできるようになりました。

これらの点から、
部活動指導員の効果について以下のようにまとめられるでしょう。

継続的・専門的な指導が可能になる。

生徒と部活動指導員との間における信頼関係が築きやすくなる

教員側の業務軽減に直接つながる

ここで挙げたように、
部活動に関わる人たちにとって部活動指導員の導入は一定のメリットがあるように見受けられます。

改定によって、
部活動指導員は従来の外部指導者よりも重大な責任を背負うことになります。
その分だけ恩恵もあるのです。

それは部活動指導員が「学校職員」という位置づけになったことです。
これにより、給与が発生することになりました。

給与は自治体によって異なりますが、
時給数千円といった自治体が多く見受けられます。

部活動指導員が抱える課題

ここまで見てきたように、
部活動指導員は多くの点において効果的であると言えます。

一方では学校現場という特殊性もあり、
単純に諸手を挙げて喜ぶわけにもいきません。

まだまだ解決すべき課題があるというのが実情です。

給料の負担が大きい

まず初めに、金銭面です。
部活動指導員が「学校職員」である以上、給料が発生します。

給与の支払いは各自治体₍私立学校の場合は学校₎で行います。
地域によっては、部活動指導員への給与の支払いが負担になるという問題もあります。

私立の場合は完全に学校の財務状況次第になりますが、
子供の教育が自治体や学校の設置者の「金持ち度」によって左右されてしまうことに関しては、再考の余地がありそうです。

いじめに対する責任の所在が曖昧

二つ目の課題が、いじめに対する対応への課題です。
従来の仕組みですら、
学校側にはいじめの認定を認めたがらない傾向が見受けられていました。

部活動指導員が入ることにより、
役割の分化が進むことが考えられます。

学級・授業での様子に関して、
教職員間の連携の徹底が求められています。

学年の教員がチームとして対応することにより、
いじめの把握、対応が円滑に進むように、
チームで対応することが義務付けられています。

一方で、部活動指導員は部活動に関する職務が中心です。

土日や祝日など、部活動指導員のみが指導に当たる機会を狙って起きるいじめがあった場合、どのように対応すればいいのかが非常に不明確です。

いじめの発見自体が遅れることが想定されます。
いじめ等は多様な場・多様な形で起きるものですが、
いじめる側だって、わざわざ見つかるやり方はしません。

部活動がいじめの温床になってしまわない工夫が求められます。
部活動指導員がいじめの存在に気づいても、
責任問題になると思えば意図的に見過ごすことも起こり得ます。

「学級の問題は担任の責任」として、
指導力不足を指摘されていたかつての体制に戻らない工夫が必要です。

種目指導力と教育的資質の確保

部活動指導員が、部活動の指導を職務の中心として担うことは明確です。
一方で、部活動は競技スポーツとは分けて考える必要もあります。

部活動が教育活動の一部であるとするならば、
部活動指導員にも教育者としての資質が問われます。

現行では教員免許等の資格は不要となっていますが、
一時は国家資格化が検討されていました。

資格化をすれば、より一層給与面での好待遇が求められることになります。
質と量の確保・費用対効果など、まだまだ改善点は多い制度のように思えます。

日本は先進国の中でも、教育支出の対GDP比が低いことが指摘されています。
高等学校の無償化、幼児教育の無償化が実施されますが、
これらは教育界改善に対する支出とは言えません。

【関連記事】>>>国が教育にお金をかけない理由って?【日本の現状】【公的支出】国が教育にお金をかけない理由って?【日本の現状】【公的支出】

従来の教育水準をより負担なく、多くの人に享受するものであって、
教育の高度化に直接つながるものではないのが実情です。

また、無償化に伴う支出がかさむ為、
従来以上に教育に対する公的資金の投入が見送られる可能性もあります。

部活動と学校の位置関係の見直しを

ここまで部活動指導員の導入に伴う変化についてみてきました。
部活動が学校教育において重要な役割を担っていたことは事実と言えます。

「ブラック部活」等と批判的な意見もありますが、
部活動に青春を捧げている学生は多く、
甲子園や国体など、日本における行事としても定着しています。

また、日本の子供の体力低下も問題視されています。
直近では体力テストの結果の改善が見受けられますが、
過去の結果と比較すると低い水準にとどまっています。

少子化や遊ぶ場所の減少、ゲーム機の普及など
「遊び=屋外」という環境ではなくなっています。

連帯責任・罰走など、運動部内の悪しき風習と、
定期的な運動機会の確保は分けて考える必要があると言えます。

重要な役割は担うものの、
部活動が教員にとっても負担となっているのは明確な事実です。

金銭面から職員の数を増やすことには限界があり、
現状ではボランティア₍外部指導者₎に頼る必要があると言えます。

「部活動と学校教育の関わり方」を再考するタイミングに来ていると言えるかもしれません。

限られた人的・金銭的資源の中で、教育的意義を確保しつつ、
部活動を継続するためには公的資金の注入など、
大規模な改革が求められてるのかもしれません。

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