教育関連

書評⑧:「英語学習は早いほど良いのか」

この記事で取り上げる本は、
バトラー後藤裕子氏の「英語学習は早いほど良いのか」です。

近年では英語力によって出世の不利有利が決まったり、
入試で優遇措置が受けられたりと、
英語力がそのままキャリアに影響するようになって来ています。

英語力と年収の関係性をまとめています!
【関連記事】:収入アップに必須!もう無視できない英語力と高収入の関係性

英語力への関心は子供にも波及していることは明確で、
小学生から英語が教科化されるなど、
この流れは今後より強まることが予想されています。

こうなってくると・・・
子供に英語ができるようになってほしい!
と保護者の方が感じるのも当然です。

英語をやるなら早くから始めた方が良さそう!
子供の方が耳がいいし、ペラペラ話せるようになる!
という考えも浮かびますし、
先述のように小学校でも英語の授業は増加の一途をたどっています。

「これらの考え方は科学的に見るとどうなんだろう・・・。」
そんな疑問に答えてくれる1冊であると思います。

子供に英語を学ばせようと思っている保護者の方や、
英語教育に携わる方にはぜひ読んでいただきたい1冊です。

 

第二言語としての英語外国語学習としての英語をしっかりと区別している

では、第二言語として英語を習得するパターンと外国語として英語を学ぶパターンにしっかりと場合分けされています

移民などの要因で英語を生活に必要な言語(第二言語)として学ぶ場合と、
日本のように完全に外国語として学ぶ場合では様々な点で異なります。

例えば、身近な人普段からが英語で話しているかどうかは
インプットの質や量に大きな影響を与えます
インプットとは、聞く・読むといった「情報を受け取る行為」です!

同じように言語を学ぶといってもこの点だけで全く言語習得の特徴が異なります。

本書では、そもそもどのように2つのパターンを区別しているのかについても様々な研究を用いて分かりやすく説明してあります。

豊富なデータと明瞭な分析

本書では数多くの先行研究が紹介されています。
先行研究の数も多く、図なども取り入れられていて非常に分かりやすかったです。

また、多様な観点からデータを分析している点も高評価です。

例えば・・・
言語能力を「聞く」「話す」「読む」「書く」の一般的な4技能だけでなく、
単語の取得や、文法の習得など非常に細分化して捉えています。

そして、先行研究の結果に対しても「何が分かっていて何が確定的でないのか」「研究の不備」などについても詳しく記載されていて、情報の誤認を避けることができると思います。



結局「外国語学習は早いほど良い」の?

著者の見解としては、「外国語学習は早いほど良い」というのは神話であって、早いほど効果的であるという明確な研究結果は無いとしています。

一方で、効果的だと思われる学習についても記載していて
外国語として英語を学ぶ際に必要な事を以下のように示しています。

外国語学習環境では学習開始年齢ではなく
総学習時間数が英語の熟達度に関係している

英語学習に関しては、
「時間と質」の関係性が議題に挙がることが多くあります。

良い英語にたくさん触れることがもっとも望ましいことですが、次善の策としては「学習時間の確保」が大切な要素になると考えられます。
そのことは本書においても指摘されていて、
継続的に長期間にわたって英語を学習することができなければ、
英語の上達は無いということを述べていました。

トレンドと逆行したことを書いた本書

昨今、英語の早期教育には非常に力が込められています。

このような時代背景には、
幼児英語教育がビジネスとして成り立っていることも挙げられると思います。
幼児英語教育の教材や英会話教室などがメディアでも多く取り上げられています。

矢野経済研究所に、
語学ビジネス市場の規模に関するデータがあります。
語学ビジネスの市場規模は、2018年度に売上高が8,000億円を突破する見込みです!

日本は発展途上国に比べて裕福です。
英会話教室に通わせる経済的余裕がある家庭も多いと考えられます。

そして、学習時間は言語習得に必要な要素であり、
英会話教室に通えば学習時間を確保することも出来ます。

大切なのは、英語教育に関わる人たちがまずは自分の英語力を高め、
よりよい外国語学習とは何なのか考えることなのかなと本書を通して感じました。

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