社会問題

レビュー:「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」【書評52冊目】

この記事では、オードリー・タンの「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」についてご紹介します。

AIと聞くと「生活を便利にしてくれる」とプラスに捉える人もいれば、不安に感じる人もいるのではないでしょうか。

例えば、「将来AIに仕事を奪われる」「使い方がわからなくて使いこなせない」といった心配もあるのではないでしょうか。

そんな期待や不安に対して、最年少で台湾で入閣したオードリー・タンがAIの未来について考察しています。

この本を読めば、デジタル社会の行く末や活かし方について、今よりも明確に描くことができるようになります!

オードリー・タンとはどんな人?

著者のオードリー・タンとは台湾の内閣で働く閣僚の1人です。

「世界一受けたい授業」など、日本のメディアにも出演していて、世界で注目を浴びています。

内閣の中でもデジタル担当の政務委員を務めています。

史上最年少の35歳で入閣している優秀な人物ですが、幼稚園・小学校を何度も転園・転校している経験の持ち主でもあります。

また、性的マイノリティを公言していて、非常にユニークな経歴の持ち主と言えます。

そんなオードリー・タンが、これからのデジタル社会やAIについて語っているのが、「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」です。

オードリー・タンのビジョン

デジタル担当と聞くと、とにかくペーパレスにして、仕事をAIにさせて……といったイメージはありませんか?

実はオードリー・タンは社会的弱者に対して強い関心を持っています。

例えば、台湾では5Gの導入を地方から実施しています。

これは地方の方がネット環境がよくなく、オンライン授業などの学習面にも影響があるためです。

また、山間部や海上でトラブルに遭遇した際に、ネット環境が無ければ救助を呼ぶこともできません。

一見すると「不便なのは仕方ない」環境を優先的に整備することで、セーフティーネットになると考えています。

つまり、強い都市をガンガン伸ばすのではなく、不便な箇所を改善することを優先するという方針をとっています。

 

デジタル社会で必要な能力

オードリー・タンはデジタル社会において、必要とされる能力について以下の3点を挙げています。

・持続可能な発展
・インクルージョン
・イノベーション

持続可能な発展

まず初めに、持続可能な発展ですが、持続可能という言葉を耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか?

現代では、何かと引き換えに新しいものを開発するという手法には反対の声が多く挙がります。

この背景にはCO2による地球温暖化など、人間が積み重ねてきた結果招いた悪循環があります。

今後は何かを犠牲にするのではなく、現在あるものを活かしながら発展を目指す心がけが求められています。

これを実現するためにも、デジタルを活用しながら、限られた資源を最大限に利用することが必要になってきます。

インクルージョン

続いてがインクルージョンです。

インクルージョンとは「包括的」という意味です。

デジタルが発展する際に懸念されるのが、「自分は取り残されてしまうのでは」という感覚です。

デジタル社会が進んだことによる恩恵を一部の人だけが受けられるのでは意味がありません。

世代・地域に関わらず、全員が社会の発展の好影響を受けることを目指すことが、今後の発展の方向性として求められます。

この視点からも、決して「AIが仕事を奪う」ではなく、「AIが仕事を助ける」方向に進むことが望まれます。

社会的な弱者がダメージを受ける発展では意味がないということを、オードリー・タンは強調しています。

イノベーション

最後にイノベーションですが、「技術革新」といったところでしょうか。

これはデジタル機器自体の発展もありますが、人々のアイディアの重要性について言及したものでもあります。

技術の発展によって、できることが増えた分、それをどう活用するかのアイディアがより一層重要になります。

また、人々のアイディアをより簡単にまとめることができるのも、デジタル社会の発展の恩恵です。

ここでもイノベーションによって弱者が犠牲になったり、新たな弱者が誕生することは避けなければいけないと述べています。

まとめ

ここまで「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」について、ご紹介してきました。

デジタルの発展やAIは、一部のインテリ層だけが得をするというイメージを持っている人も多いと思います。

実際に私もそう思っていました。

しかし、オードリー・タンはデジタル社会の発展によって、「弱者を救ったり幅広い意見を取り入れたり」できるようになることを目指しています。

このような考え方をトップの人が持てば、失業の不安や取り残される不安も軽減するのではないでしょうか?

一部の人が得をする改革ではなく、弱者こそが救われる改革を目指してくれるリーダーが日本にも増えてくれると良いなと感じる1冊でした。

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