この記事では、人生100時代を考察した「ライフシフト」という1冊をご紹介します。
あなたは自分が100歳になった姿を想像できますか?
その時の友人関係や貯金、健康状態など、
具体的に考えられる人はそう多くありません。
それは従来の「教育・労働・引退」という、
画一的な人生設計が通用しないことを意味しています。
そこで、寿命が延びることで仕事はどうなるのか、
お金の問題はどうなるのか、
人間関係はどう変化するのかについての知識を得ることはますます大切になります。
正しい知識を得ることで、
これからの時代に必要な知識・力を身につけることができるようになります。
人生100年時代の到来
長期的に見ると平均寿命は上がり続けています。
特に先進国においては、
医療の発達や健康に関する知識の普及など長寿を生み出す要素で満ち溢れています。
それに伴って、
寝たきりなど生活に不便が生じる「不快で辛く長い人生」ではなく、
健康寿命が延びるようになってきています。
活力に満ちた状態で長い期間生きられるのであれば、
長寿の恩恵を最大限に受けることができます。
一方で、社会の仕組みはまだまだ長寿社会に対応できず、
定年制度により働ける高齢者の引退が強制されるなど重大な課題もあります。
また、社会があまり変わらないことによって、
一人一人の生活様式も依然として「教育・労働・引退」の3ステージ制のままです。
そこでこの記事で紹介する「ライフシフト」では、
人生100年時代に変わる要素について色々な観点から考察しています。
今までの常識のままだと、
長寿化が足かせになってしまい、その恩恵を受けることができません、
時代に適応した人生を歩むための参考書的な1冊だと言えます。
100歳まで生きる確率はどれくらいなのか
人生100年時代と言われても、
平均寿命が100歳になることを意味しているわけではありません。
現在80歳の人が100歳まで生きる確率と、
現在30歳の人が100歳まで生きる確率には違いがあります。
それでは私たちが100歳まで生き続ける確率はどれくらいなのでしょうか?
本書内出てくるデータ₍ベストプラクティス寿命₎によると、
2007年生まれの半数が107歳まで生存すると考えられています。
これは現在の12,13歳なので、
もう少しリアルに考えられる世代で見てみます。
1987年生まれ₍現32,33歳₎だと、
半数が95~98歳まで生存すると考えられています。
この数値は10年ごとに2~3歳程度上昇し続けているので、
あなたの生年月日から自分の世代の平均寿命を想定することができるでしょう。
人生100年時代に変化していく要素
人生が長くなるにしたがって、
それだけ変化を求められることも多くなります。
「ライフシフト」では人生100年時代に変わり得る要素について、様々な角度から考察しています。
その中でも特に生活に直結する、
雇用とお金の問題について取り上げていきます。
①雇用の問題
これからの仕事について話題が及ぶときに必ず議題に挙がるのが、AIが人間の雇用を奪うのではないかという点です。
オックスフォード大学のフレイ、オズボーン教授の研究によると、
2023年から2033年の間にアメリカの約47%の雇用が取って代わられると試算しています。
これを人数で表すと、
約6000万人というとてつもない数の労働者が失業する計算です。
ロボット開発やスーパーコンピューター開発において活躍している日本の状況を考えれば、同じようなことが絶対に起きないとは言えません。
一方で、AIの発展による新たな雇用の創出もあると考えられています。
いずれにしても、現存する職種が将来もあり続けるという保証はどこにも無いのが現状でしょう。
また、終身雇用が常識だった時代は既に過ぎ去り、
キャリアの途中で職を変えることは決して珍しいことではありません。
実際に労働力調査によると、
転職率は増加傾向にあります。
②お金の問題
人生が長くなればそれだけ出費がかさむ可能性があります。
日本でも少し前に、老後に備えて2000万円の貯蓄が必要という試算が出され話題になりました。
年金だけで生活が十分にできると考えている人は、もう多くないかもしれません。
それにもかかわらず、
老後に向けた貯蓄の選択肢として依然として「銀行預金」を選択する人が大勢います。
決して怪しい謳い文句の会社に投資する必要はありませんが、貯金以外の貯蓄に関する知識が不足しているのが現状です。
本書でも預金以外の資金運用を行うことで、
給与から貯金に回す金額を引き下げることができると指摘しています。
細かなテクニックは本書をご覧いただきたいですが、
「投資=怪しい」という固定概念にとらわれてしまうと、
結果としてお金の問題に長期間振り回されることにもなり兼ねません。
正しいお金の知識「金融リテラシー」を学ぶことも、長い人生を乗り切るうえで必須事項と言えます。
人生100年時代にはマルチステージな生き方を
人生が長くなるにつれて、
節目節目で転換点を迎えることは避けられません。
そして、転換点が増えることによって、
従来のロールモデルが参考にならなくなります。
しかも周囲の人の生き方も多様になることで、
より一層「自分に関する知識」が必要になります。
年齢と人生ステージが一致しなくなる社会では、
自分がしたい事や今必要な事が一人一人異なります。
あなた自身が、自分にとって今必要なことは何なのか問い続けることが求められます。
同時に、これからの社会がどのように変わっていくのか見通す力も欠かせません。
そのためにも本記事で紹介した「ライフシフト」のような、
科学的な根拠に基づきながら、将来の社会について考察している1冊はぜひ手に取ってもらいたいと思っています。