社会問題

レビュー㊶:「家族幻想 「ひきこもり」から問う」【書評】

この記事では、
「家族とひきこもりの関係」について考察した、
家族幻想 ――「ひきこもり」から問う」をご紹介します。

ひきこもりは当事者にとってはもちろんですが、
周囲の人にとっても大変苦しい問題ですよね?
一方でひきこもり当事者が、
家族関係に困難を抱えていることも少なくありません。

家族の役割も時代によって大きく変わる中、
その価値観を受け入れられずに苦しんでいる人が大勢います。

ぜひこの本を読んでいただき、
ひきこもりという事例を通して、
家族の役割について考えるきっかけにしてもらえたらと思います。

「家族」とひきこもりの関係

ひきこもりには様々な要因がありますが、
多くの場合は学生時代からの継続など、
誰かしら家族とともに生活している場合が多くあります

ひきこもりと家族との関連性は、
切っても切れないのが現状と言えます。

一方でひきこもりに苦しんでいるのは本人だけではなく、
家族も同様に苦しい思いをしています

保護者のせいでひきこもりになるという、
「責め」を負わせてもこれは解決にはつながりません。

ほとんどの家庭では、
ひきこもりを課題として捉え、
改善していくことを望み様々な手立てを講じています

このように、家族とひきこもり当事者の関係性に着目したのが、「家族幻想 ――「ひきこもり」から問う」です。

ひきこもりは遺伝的な要素など、
必ずしも家庭に原因があるとは限りません。

それでもひきこもりを抱えた人の極端な価値観もある以上、価値観形成に影響を与える家族の影響は否定できません

核家族化に伴う問題

ひきこもり現象は現在に限った話ではありません。
そして今以上に、
親、特に母親への育児に対する責任は大きいものがありました

例えば1978年に起きた、
育児ノイローゼになって我が子を殺害した事件では、
雑誌での論評で以下のように述べられています。

自分は一歩退いて、子どものために生きなくちゃ、
この子のために苦労しても頑張っていこうというほんとうの母性愛がほしかったですね

特にこの時代は核家族化が進み、
家族での子育てから親の子育てへと変化している時代です。

さて、時代は進み現在でも核家族化は進んでいます。
それに対して子育てに対する保護者の責任は変わっているでしょうか?

例として、障害児や低所得家庭への支援は少しずつ整ってきています。
それだけ社会全体で支える構造が構築されてきているのでしょう。

しかし、ひきこもりの家族を抱える家庭は、
社会から距離を置いた生活が続いている面もあります。

むしろ親族全体で子育てをする家庭が減少し、
子育ての責任は両親に重くのしかかっているとも考えられます。




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家庭での価値観の形成

子育てに関わる人数が減ると、
特定の価値観に沿って子育てが行われやすくなります

その過程の中で、
異常な歪みが生じることも十分にあり得ます。

しかもそれが修正される機会は減り、
年齢を重ねるうちに認知の歪みが表面化してきます。

本書の中でも家族が与える価値観の影響について、以下のように記述しています。

ひきこもりの背景には、自己卑下がある。
周囲の価値観が内面化されて自分を責める。
₍中略₎
大人になる不安の中で、様々な価値観を、
学校やメディアなど様々な場所で拾ってくる。
家族から受け取る価値観は強力だ。
₍中略₎
核家族を覆う壁は高く分厚い。
家族を超えて外から当事者の思いを揺さぶる存在が周りにはいない。

価値観の多様化の功罪

特定の価値観が固定化することで、
生きづらさにつながることは想像に難くないところです。

しかし、現代は多様化の時代であり、
本来は様々な評価軸・考えが許される社会なはずです。

実はこの多様な社会が、
むしろ特定の価値観を強化することに繋がっているのかもしれません。

というのも全ての考えが受容されることで、
「ちょっと極端だな・・・」って思っても、
周りから指摘することができなくなります。

更には当事者が成長していく中で、
自分の価値観を修正しようと思っても簡単ではありません。

このように多様化した社会では、
自分の価値観に相手が共感してくれるとは限りません

家庭の中で強く染みついた価値観が認められなければ、
社会の中で居場所を確保することは難しくなっていきます

もし社会のお世話にならず、働き・稼ぐことが価値観であれば、
ひきこもりという現状はますます自尊心を傷つけ、
社会への復帰を妨げてしまいます。

社会には生活保護を含めて、
生きていくために多くの支援が存在しています。

それにもかかわらず、
自分自身がひきこもりを受け止めることができなければ、
当然支援サービスを受けることをためらうことにもつながります。

それだけ一旦身にしみついた価値観は、
長期間に渡って影響を与えることが考えられるということが分かります。

ひきこもりと家族の関係性

この記事でご紹介した、
家族幻想 ――「ひきこもり」から問う」では、ひきこもりと家族の関係に着目しています。

ひきこもりは当事者だけの問題ではなく、
家族全体、ひいては社会全体で取り組むべき問題です。

というのも社会が家族の在り方を変え、価値観を変えていくことになるからです。

かつては親族総出での子育てが当たり前だったのが、核家族化により両親への負担が増しています。

一方で、家族のしがらみを抜け出し、
自由に子育てに向かうことができる世の中とも言えます。

どんな社会でも必ず長所と短所が存在し、
その恩恵を受ける人と損害を被る人が出てきます。

その中で特定の価値観を重視して、
それを家族に強いることは家族を限られた狭い世界に閉じ込めてしまうことになるのかもしれません。

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