教育関連

書評㉜:「ポケットに外国語を」

外国語と言われて何語を想像しますか?

多くの人にとっては外国語=英語であって、
他の言語について学んだ経験のある人の方が少ないかもしれません。

黒田龍之助氏の「ポケットに外国語を」では、
ロシア語をはじめとした普段聞き慣れない言語を取り上げながら、
「外国語を学ぶということ」について、
様々な点から考察しています。

「外国語学習」と「外国語会話学習」

本書の中で、面白い比較が目につきました。

それは、「外国語を学びたい」のか、
「外国語で話したい」のかという比較です。

大人になってから新しく外国語を学び始める人や、
学生時代に「文法英語」に嫌気がさした人には後者の人が多いように感じます・・・。

問題は、
文法よりも会話の方が役に立つのか
ということですよね!

多くの人にとっては、
外国語を勉強する理由が問題を解くためではないはずです。

勉強するなら生活の中で役立ててナンボですよね。

文法学習無しでできること

生活の中で外国語を使う場面として考えられるものに、
「旅行」があります!

少し極端な例になりますが、
文法を全く学ばずに、
いくつかの定型文を覚えて海外旅行に行ったらどうなるでしょうか?

実際に本書ではこのような想定の基、
以下のようなことをシミュレーションしています。

文法を除外して、フレーズを暗唱するだけで使えるのは、
実のところ挨拶しかない。
それ以外は、聞き取りすら難しすぎるのである。
「いくらですか」は覚えられても、
相手のいう数字に合わせて財布からお金を取り出すには、
高度な技術を要する。

簡単な表現のみでどうにかなるという考えは、
学習者の気持ちを楽にして意欲を高める可能性もあります。

それでもそういった謳い文句の多くは、
英語教材の購入への導線になっていることも多くあります。

そもそも簡単な表現のみで会話を成立させられるというのは、
自分発信の場合のみにしか成り立ちません。

相手が自分の知らない単語や表現を使えば、
その時点で理解することができなくなります。

コミュニケーションは相互理解なはずであって、
自分発信だけの場合を考慮することはコミュニケーションとは言えません!

外国語を学ぶ理由

どんな目的で外国語を勉強するにしても、
学ぶ以上は上達したいと考えるのが一般的です。

学ぶ理由は仕事で必要になったからだったり、
受験で必要になるからだったり積極的な理由ばかりとは限りません。

このような場合には意欲が低いかもしれませんが、
自主的に学習をしている人はきっと様々な理由から、
その言葉に興味をもって勉強することを決意したはずです。

外国語を嫌いになるのはどうして?

外国語に対してやる気をもって勉強し始めるのに、
それを継続させることはとても大変な作業です。

自分から進んで始めた外国語学習を続けることができず、
最悪の場合は言語学習を嫌いになってしまう要因はどこにあるのでしょう?

一つには競争意識の芽生えがあります。
最初は自分の視野を広げたり、
好きな映画や音楽を日本語無しで理解したいなど
自分がしたいことを実現するための手段として勉強し始めます。

それがTOEICやTOEFLなどの資格試験の点数で、
語学力の優劣が付けられるようになります。

実際はTOEICで満点を取ったからって、
世界が劇的に変わることはないと思いますが・・・

ましてや大学の進級や卒業要件に、
資格試験が加えられることもあります。

こうなってくると自分で選んだ外国語でも、
全く楽しめません。

このような強制的な語学力の数値化による優劣が、
言語学習を億劫なものにさせる要因になっていると本書でも指摘しています。




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言葉を学ぶということ

作者の黒田龍之助氏は、
ロシア語を中心として大学での教員経験が豊富です。

またリトアニア語やフランス語など、
様々な言語を学んだ経験の持ち主でもあります。

そんな黒田氏は言語を学ぶことの大切さは、
言語を通して文化を理解することにあると考えています。

英語の重要性ばかりが前面に押し出されていて、
そのほかの言語にはなかなか光が当たりません。

それでもK-POPが流行れば韓国語を学ぶ人は増えるし、
新大久保はリトル韓国とも言えるような街並みになっています。

本来は自分の興味を国についてもっと知りたいという、
基本的な欲求が外国語を学ぶ根底にはある必要があります。

なぜならそのような欲求は、
周りの人からの評価には関係なく、
自分の純粋な向上心に基づいているからです。

言語の習得は長年に渡って時間をかけなければなし得ません。
もっと言えば、ここでゴールという段階は無く、
常に向上する余地のある学問とも言えます。

関連書籍

本書を読んで、
「言語学」に少しでも興味をもってもらえたでしょうか?

以下の本にも目を通してもらえたら、
言語というものについて、
より一層楽しく学ぶことができます!

同じく黒田氏の本なので、
読みやすく内容もとても理解しやすかったです!!

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