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書評㉗:「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」

社会の流れは日に日に加速しています。
ドンドン新しい技術が生まれては、
時代遅れの技術は消滅していっています。

それに伴ってデータの正確性は増していき、
正しく分析する力さえあれば、
誰でも同じ結論にたどり着くことができるようになってきています。

そんなある意味矛盾を孕んだ現代において、
本当に身につける力とは何なのでしょうか?

多くの本を出版し電通やコンサルティング・グループで勤務した経験をもつ、
山口周氏は、「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」の中で、
美意識」の大切さを説いています。
科学が最重要視される現代において、
「美意識」の向上を求める理由とは何なのでしょうか?

「多様性」のゴールは同じ答え?!

近年多様性が強く求められる時代になってきています。
少数派の人でも自分の個性を人前で表現したり、
反対に多数の人は少数派の人の考えを受け入れることが求められたりしています。

多様性に伴って社会がより複雑になることは、
簡単に想像することができるかと思います。

一方で!科学技術の発展によって、
様々な事柄が説明可能になってきてもいます。

また、正しく論理的・理性的に物事を読み解くことが求められています。
論理的・理性的ということは、
答えを求める人によって答えが変わることはありませんから、
誰でも同じ答えにたどり着くことが求められていることになります。

そうすると・・・
「社会は多様になるけど、求められている答えの出し方は同じ」
という結果になります。

著者はこの現象を、
正解のコモディティ化」と表現しています。

普段の生活では多様性が進んでいる一方で、
ビジネスの世界では画一化が進んでいるんですね・・・。

こういった社会で生き残っていくためにも、
「美意識」を高く保つこと大切であると著者は考えているようです。

それもそのはずで、科学に基づく答えが同じになるのであれば、
アイディアを変える必要があることになります。

それなのに数値目標を高く設定し、
従業員に重労働を課すことで解決しようとすることは、
むしろ非現実的なことで継続性を欠いています。




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不祥事は「美意識」の欠如

美意識を学ぶと、
他者とは異なった視点を手に入れることができて、
それが「違い」を産むことにつながります。

更に!美意識の向上は、
労働倫理の改善にもつながるようです!

と言いますのも・・・
現在の社会はとにかく変化が激しいです。
そして、その変化に社会のシステムがついていけていない実情があります。

具体的に言うと、
法整備が後追い状態」になりやすくなっています。

例えば「東名高速でのあおり運転事件」を覚えている方も多いでしょう。
高速道路上で無理やり車を停止させ、
被害者家族が後続のトラックに追突されて亡くなってしまいました。

この時に争点になったのが危険運転致死傷罪を適用する際に、
速度0キロでも危険運転になるのか」ということでした。

法律が可決した時には、
このようなあおり運転を想定していませんでした。
結果として法解釈を広げて適用するという判決でしたが、
この例のように、現行のルールで全ての事象に白黒付けられるわけではありません

これはあらゆる職種でも起こりうることで、
法律的にはグレーなことに対処する必要性」が出てきています。

この時の判断基準が美意識、
すなわち「真・善・美」になると作者は考えています。

哲学教育の必要性

美意識が正しい判断の手助けをしてくれることは分かりますが、
問題は美意識をどうやって鍛えるかということですよね!

本書ではいくつが美意識を鍛えるための方法が取り上げていますが、
その中で興味をもったのが「哲学に親しむ」という方法です。

現代ではすぐに使える技術が重視されていて、
抽象的な知識の習得はないがしろにされる傾向があります。

著者の山口は、海外における哲学の位置づけについて、
以下のように考察しています!

海外のエリート養成では、まず「哲学」が土台にあり、
その上で功利的なテクニックを身につけさせるという側面が強いのに対して、
日本では、土台となる部分の「哲学教育」がすっぽりと抜け落ちていて、
ひたすらにMBAで習うような功利的テクニックを学ばせている

横文字が多くて苦手な人には読みにくいかも・・・

本書で書かれていることは私のように経営に関わったことが無ければ、
一般企業で勤務したことのない人にでも容易に理解することができます

一方で、書かれている言葉自体が分かりにくいかなという気はします。
というのも、経済や経営に関しては日本よりも海外の方が研究が進んでいます。

このような分野については、
概念を日本語で正確に表しにくいことがあります。

私も英語の教員をしていますが、
全ての英文を正確に日本語で表せるかと言われると
難しい時があるように感じます。

こういった理由から本書内では英単語が結構な数出てきます!
それが理解の妨げになることはありませんし、
丁寧に説明されているので気にならない方は問題ないと思います。

横文字ばっかりだと読みにくかったり、
なんか海外かぶれしていてムカつくという人もいるかと思うので参考までに・・・

知識や技術に「使われない」ために

現代社会において技術の進歩は加速度的に速まっています。
インターネットのように、
かつては一部の業界だけだった恩恵も、
今では一般庶民が活用できるようになったものもたくさんあります。

この流れは今後も続くでしょうし、
人間がしなくてはいけないことはドンドン減っていくことになりそうです。

それでも人間が技術を使うという構図はそのままで、
機械に人間が使われることが無いように気を付けるべきという考えは、多くの人にとって一致するところです。

そのためにも「正しい判断基準」を持つことが不可欠で、
その基準の拠り所が法律では不十分です。

その根拠は、本書を読んでもらえれば理解できると思います!
ぜひこれからの社会をより良くするためにどうすればいいのか、
考えながら購読してみてください!!

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