教育関連

書評㉔:「すこやかな学校環境をめざして」

いきなりですが・・・
保健室ってなんかドキドキしませんか?!

漫画とかドラマの影響だとは思うんですけど、
保健室には少しだけ男のロマンがあるように思うんですよね!!

もちろん実際の保健室は「仕事の場」って感じですけどね₍笑₎

日本の保健室って、教育の問題が議論に挙がるときに
あまり取り上げられない空間だと思います。

子供の健康を管理する場所だから、
本当はめちゃくちゃ重要なはずですよね。

それなのに世間の関心が向きにくい理由はどこにあるのでしょうか。
この記事でご紹介する1冊は、
すこやかな学校環境をめざして―アメリカ・スクールナースの実践
というアメリカの保健室事情についてまとめられた貴重な1冊です。

子供の健康に関わる人はもちろんの事として、
子供を育てる一保護者の方にもぜひ読んでいただきたい1冊だと思いました!

保健室の先生の専門性

日米の保健室の先生の大きな違いとして最初に挙げられるのが、
専門性の違いと言えます。

日本では養護教諭という形で、
他教科の先生と同様の採用試験を経て学校に勤務することになります。

アメリカは州制度を採用しているため一概には言えませんが、
学校看護師という立ち位置で学校長に雇われるのではなく、
群の公衆衛生局」の指示を受けることになります。₍アーリントン群₎

つまり、全く管理体制が違うことになります。
日本はあくまで学校長の管理下ですが、
アメリカでは学校の外部で雇われ、学校に配置される形をとることが多くあります。

他にもワシントンD.C.の公立小学校では、
小児病院のスタッフを学校に派遣するという形をとっています。
給与も小児病院から支払われていますが、在籍が病院というわけではなく学校が主な職場になります。

高い専門性を持っているものの、
本業の傍らで副業としてというわけではないところがポイントだと思います。

日本の養護教諭は、看護師免許の取得が義務付けられているわけではありません。
それは決して保健を軽く見ているわけではなく、
日本とアメリカでは求められる役割が全く異なるからです。₍詳しくは後述₎

それでも医療のプロが保健室ないしは学校内にいるということは、
子供を預ける保護者は何より、
勤務する教諭たちも安心できる要素だと言えそうです。
何かあったときに、頼ることのできる強力な人材がいるわけですから!




スポンサーリンク

保健室でできること

ここで、保健室の先生の仕事内容について取り上げたいと思います。

日本の保健室の先生₍養護教諭₎は、
ケガをした生徒の応急処置をはじめとして、
体調の優れない生徒の休養や、
メンタル面で優れない生徒のケアなど多岐にわたります。

それでもアメリカと比較すると、
できること」の量がかなり違います。

日本では生徒への投薬はできません。
薬の管理も生徒自身が行う必要がありますし、
基本的には薬の服用について都度確認することもありません。

ですので体調が急変した場合には、
保護者に連絡して早退の手続きをするか、
症状が重い場合には病院へ連れていく₍救急搬送を含む₎必要があります。

一方でアメリカでは
救急処置や薬を与えることのできるスタッフが校内にいることが多くあります。

日本では救急車の対応も迅速ですし、
大きな問題があるとは思いません。

それでも子供の命を預かっていることを考えると、
万が一の事態に備えて学校で何かしらの医療的処置を行うことができる方が望ましいように思います。

アメリカでこのようなことができるのは、
一つには先ほども挙げた高い専門性があります。
そして年度の初めに保護者は、
「緊急時には学校に処置を一任する」
という書面にサインをします。

ここが日本とアメリカの最も大きな違いだと思います。
契約社会と言われるアメリカでは、
とにかく様々な許可書にサインすることが求められます。
本書にも資料として載っているので、ぜひご覧いただければと思います。

責任の所在をはっきりさせておくことが、
健康を管理する保健業務には必要だと思います。

刻一刻を争う事態に万が一になったときに、
誰の責任でどこまでできるのか。

誰かを責めるためではなくて子供の命を守るために、
特に子供の健康に関することは、
学校と家庭で役割についてよく話し合い、
できることをはっきりとさせておくことが必要であると感じました。

海外の制度を参考にする前に・・・

教育に限ったことではありませんが、
何かことが上手くいかなくなったときに
「海外ではこうやってるのに・・・」
といった意見が出てきます。

多様な意見は歓迎するべきところだと思いますが、
前提条件が違うのであれば、そのまま取り入れても上手くいくとは限りません

今回紹介した本も、
あくまでもアメリカのスクール・ナースの実践例です。

日本の保健室との比較は、
私個人の考えによる比較であることは頭に入れておいていただきたく思います。

その上で、アメリカの保健業務をそのまま導入すれば、
日本の養護教諭の多くを総入れ替えしなくてはいけなくなります。

教員免許取得の過程で、
看護師免許を持っていることは必須ではないからです。

必須にするべきとの議論も有用だと思いますが、
現状の教諭との差が大きくなれば、
学校間での対応の差も大きくなります。

養護教諭を複数配置することを義務化することは、
一つの案としてあるように思いますが、これも人件費の問題が関わってきます。




スポンサーリンク

公的資金の投入が必要

前提が違うのであれば、そのまま導入することはできませんが、
日本の教育システムが完璧だということはできません。
完璧でない以上はさらなる改善は必要です。

そして、現状を変えるにはできない理由ばかり挙げても仕方がありません。
教育改革を行うに際して、
頻繁に挙げられる課題は金銭的な問題です。

教育方法に関しては絶対的な正解は確立されていないため、
多様な研究が進められています。

一方で制度の話になると、
従来のやり方を大きく変えられないのが日本の教育の問題です。

保守的な思想もありますが、
公的資金の投入が少なすぎる問題は避けられません。
人件費の削減も大切ですが、子供の教育は国の未来に関わる問題です。

民間の人材の活用も検討に入れつつも、
子供の健康に繋がる保健業務にはより一層
ソフト面・ハード面両方で改善し続ける必要があると思いました。

関連記事はこちら

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA