教育関連

書評㉓:「授業づくりで変える高校の教室 英語」

一生懸命勉強して教員免許を取ったものの、
専門的な学習を行うことができないということは、
熱心に勉強してきた人ほど堪えることかと思います。

実際に日本の高校では、
学力順で輪切り状に進学先が決まることが多く、
学力的に下の方に属する高校の中には、
いわゆる「教育困難校」と言われる学校が存在しています。

受験制度の見直しの是非については簡単に結論が出るものではありませんし、ましてや具体的に変更されるのがいつになるのかは皆目見当がつきません。

それでも日々の教育活動は展開されていきます。
現行の受験制度や教育課程に不満があるからと言って、
教育を蔑ろにして良いわけではありません!

都道府県によって学校の運営に差はあれど、
同じような悩みや課題は各学校で存在していると思います。

そういったことを考えると、
様々な環境で行われている実践例をまとめて共有することは非常に大切なことだと思います。

特に私を含めた教師になって日が浅い人間にとっては、
まだまだ経験も足りず、何から手を付ければいいのか難しいことが多々あると思います。

授業に関しては、相談できる相手が同じ教科の人間しかいませんし、
実際にそのクラスを教えていないと課題などが見えにくいものです。

本記事で紹介する「英語 (授業づくりで変える高校の教室)」では、
教育困難校と言われる学校で勤務している教員たちの実践例がまとめてあります。

農業高校や定時制高校など生徒の生活背景は違えど、
教育的な課題は共通していることが多く見受けられます。

私は英語の教員なので英語版をご紹介しますが、
その他の教科も出版されているシリーズものですので、
必要に応じて読まれることをオススメします!

授業の改善は教師にとって永遠のテーマ

教員の仕事は日に日に多様化しています。
部活動の負担軽減など働き方が変わりつつありますが、
複雑になる家庭環境・社会のニーズに合わせて、
教員の仕事も複雑化しています。

もはや子供と接していない時間の仕事が、
メインの勤務になっている状態の教員もいるほどです。

それでも子供にとって教師と、
継続的かつ反復的に関わる機会が多いのは授業と言えます。

教員の仕事の変化とは裏腹に、
子供にとっての教師の役割は一貫して、
授業の担い手のままなのです。

そういった中で、生徒は多かれ少なかれ、
指導する教員が変わった当初は教師に対して関心をもつものです。

「この先生怖いかな・・・」
「どうせ英語できないし」

など必ずしもプラスの関心とは限りませんが、
少しでも授業のことが頭には浮かびます。

このような生徒の変化を無視して、
ひとくくりに「教育困難校」だからという理由で、
授業の成立を諦めてはいけないと再確認させられました・・・。




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継続した授業計画の必要性

本書に出てくる教師たちの実践例は、
歌を駆使したものや、劇を活用したものなど様々な工夫がされたものばかりです。

一方で、最初から上手くいっていたわけではないところもポイントです。
歌も劇も英語が苦手な生徒だけでなく、
年頃の生徒たちにとっては少し恥ずかしいと思ってしまいやすい活動です。

実際に最初は生徒たちも声が出なかったり、
乗り気でなかったりといった状況だったようです。

それでも生徒たちに案を考えさせたり
毎時間帯活動として行ったりすることで、
徐々に自主的に取り組みだすようになっていく様が描かれています。

特に工夫した活動であるほど、
手が込んでいて複雑になるため生徒には難しく感じやすいものです。

反対に教員側は時間をかけて案を練りますから、
失敗したときのダメージは大きくなります。

それでも1回で諦めずに継続・反復して行うことで、
生徒側も活動に慣れてきます。

どんなにいい授業案でも、
生徒が参加しようと思わなければ効果も半減してしまいます。

加えて、生徒が自分からやる気を起こせば、
自宅学習につながることも考えられます。

こうして正のスパイラルに乗せることができれば、
教員側が口うるさく指導しなくても、
意欲的に取り組んでくれるようになることが期待されます。

英語の授業は生活との関連性が重要!

英語教育に関する批判の一つに、
「実生活で使えない」
というものがあります。

教科書の内容は、実際の中・高生の生活実態とはかけ離れていることは事実と言えると思います。
英語は学問であると同時に、
コミュニケーションのツールになります。
生徒が英語に関心を持つことが何よりも向上に必要と言えます。

リサイクルに関する内容や史実に関するものも良いですが、
中途半端な内容理解で終わるのであれば、
日本語で書かれたもの読んだほうが勉強になります

同じことはジョブズやキング牧師のスピーチでも言えると思います。
ほとんどの生徒はそんなものに興味はありません。

興味を持たせるのが英語の授業の目標ではないはずです。
英語に興味を持った結果として、
「Stay hungry. Stay foolish.」
「I have a dream.」
の価値が知りたくなるものです。

教師の関心と生徒の関心を混同させてしまうことは、避けなければいけません。

本書に出てくる先生方の授業実践は、
文章や歌詞の裏の意味、行間を理解させることを意識されています。

単純な日本語訳に終わらず、
英語で書かれた文章の真意を読み取ることを考えて取り組まれていることが分かります。

勉強を理解したくない生徒はいない

学校の事情はそれぞれの学校で変わります。
教科書を渡してしまえば自分で進められる子もいれば、
やる場所を指定しても進められない子もいます。

それでもどんな学校でも共通しているのが、
「生徒は理解したくないわけではない」ということです。

分からないのが怖いから勉強しない、
勉強してもできるようにならないから勉強しない

こういった生徒はいますが、
理解できるのであればしたいと思うのが大半の生徒です。

これは大人でも同じかもしれません。
絶対にできるようになると分かっていれば、
努力することは難しくありません。

「頑張ってもできないかもしれない」
このような不安が挑戦に対して足踏みさせています。

教師はどんなちいさな一歩でも、
生徒の進化を見つけてしっかりと褒めてあげることが大切だと思いました。

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