人間関係

書評②:「人と接するのがつらい-人間関係の自我心理学」

人間関係の問題は、
現代社会において大きなストレスになっています。

いかにとバランスを取りながら生活できるかは、
幸福度にも重大な影響を及ぼすのは間違いありません。

元々人付き合いが苦手という人もたくさんいますよね?
本来はそれも個性なはずなのに、
なぜか生きづらい世の中になってしまっているように思います・・・

人と接するのが辛いという気持ちを、
どのように生かせばいいのかを知ることはとても大切になってきます。

そこでこの記事では、
人間関係の自我心理学 人と接するのがつらい」という1冊をご紹介します。

作者の紹介

作者について簡単に紹介します。

作者の根本橘夫(きつお)氏は、
東京教育大学心理学科を卒業したのち、
同大学院博士課程を中退。

千葉大学教授を経て、
東京家政学院大学教授(執筆時)、
教育心理学及び正確心理学を専攻されている方です。

心理学的な側面からのアプローチ

第1章から第3章までの前半部は、
主に「人と接するのがつらい人」の心理面に着目して、
社会でどのような苦悩を抱えた人がいるのかを紹介しています。

また、それらの苦悩が形成される要因について、
学術的(平易な表現です)に分析しています。

具体的には、実際に根本氏がかかわった学生の話や、
引きこもる若者など現在社会問題化しているものを取り上げての説明などです。

根本氏は本書内でグループ分け(傾向)を行い、
それぞれのグループについて分析することを好んで使っています。

特に前半部分では、
「勝者の心理」「敗者の心理」や〇〇してはいけないという禁止の心理について、かなり細かくカテゴリーわけしている印象を受けました。

「より良い人生を送るために」

第4章、第5章となる後半部分では前半とは打って変わって、
自分が「より良く生きる」にはどうすればいいかを中心に書かれています。

ここでは学問的な内容というよりは、
作者自身の人生観や経験に基づいて書かれています。

例えば不要な「会合」「人付き合い」の見極めるポイントなどが書かれていて、
確かにと納得させられることも多くありました。

一方で、論理療法主張訓練なども簡単な表現で表されていて、
頭にスッと入って来ました!

専門的なことも書いてありますが、
基本的には自らの転職経験などを引き合いに出して、
「自分を押し殺してまで嫌な場にとどまる必要は無い」など、
現在浸透しつつある考え方に即して書かれているため、
違和感なく読み進めることができました。

ステレオタイプと現代の考え方の折衷という印象

簡単に内容について説明させていただきましたが、
全5章から構成されていて、
先述のように前半部と後半部で大きく分けることができるように思います。

前半部に関しては、ステレオタイプが含まれているように思いました

こういう家庭で育てられるとこういう不適応を起こしやすいなど、かなり決めつけに近い部分もあるのかなと思いました。

関心のある学問分野の違いもあるのでしょうが、いつからでも自分は変えられるという思想の人はかなりイライラすることがありそうです。実際に私もその考えでしたので、途中で何回も読むことを諦めようと思いました。

最後まで読めばわかるのですが、作者自身が人付き合いが好きという訳ではないという事で、人との関わりが苦手という人をあまりよく描写していないところがあるように感じ取れました

ここは、作者が自分自身のことを「これで良いんだよ」という態度では書きにくいでしょうから最後まで読めばそのモヤモヤは消えると思います!!

一方後半部分になるにつれて、スラスラと読み進めることができ、かなり面白かったです。人と接することが得意になることは無いという前提で、どうすればそれが悩みにならないのかに着目しています。

好きなことにチャレンジすれば関心が自分自身ではなく外に向くようになり、自分についての悩みが減るなど「自己実現」を目指して書かれています。

現在は様々な著名人も公言しているということもあり、「自分のしたいことで生計を立てる」という考えが浸透し出しましたが、この本は今から15年以上に書かれたにも関わらずこの考えが示唆されています

「会社はあなたの人間関係を買ったのではありません。あなたの仕事の能力を買ってのです。」という言葉や、実際に作者の周りにいる「仕事はできるけど人間性は最悪な人」を紹介していることで、自分だけが苦しんでいるのではないと再確認させてくれます。

ビジネスライクな付き合い方の積極的な取り込みや、逃避の積極的利用も推奨しています。それに対して、「どこに行っても「胃潰瘍になる人」と「胃潰瘍にする人」とで構成されています。」という現実的な示唆も提供し、転職こそ至高という短絡的な結末で終わらない点も好印象でした。

本記事の見出しにもさせていただきましたが、決して人間関係が上手くなるという本ではありません。その特徴を自分を苦しめずに活かすにはどうすれば良いかを示してくれるものになっています。

心理学的なことについては、専門書を読む方が良いと思います。ですが、現実的に自分とどう付き合うかを考えるうえでは非常に意義深い1冊だと思います。

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