教育関連

書評⑲:「パブリック・スクール」【書評】

この記事では、
イギリス教育の伝統的な教育施設「パブリックスクール」についての書籍をご紹介します。

日本では小中一貫校₍義務教育学校₎が導入されたり、
9月入学が検討されたりと教育制度が少しずつ変化していく様相を呈しています。

一方で海外の詳しい教育制度については、
見聞きする機会が少ないのが現状です。

そこで本記事では、
イギリスの伝統校である「パブリックスクール」に関する書籍をご紹介します。

それはそのままのタイトルですが「パブリック・スクール」という1冊です。

日本以外の教育制度を知ることで、
日本教育の改善点だけでなく長所も知ることができます

教育に携わる方にはぜひ読んでいただきたい1冊と言えます。

「紳士の国イギリス」を作った教育制度「パブリックスクール」

イギリス人が本当に紳士淑女かはともかく、
国としてもそういったイメージを浸透させようと努力しています。

本記事で紹介する「パブリック・スクール――イギリス的紳士・淑女のつくられかた
では、イギリスの伝統的な学校である「パブリックスクール」と
国民とのつながりについて詳しく書かれています。

日本でも教育改革になると、
海外の制度を取り入れようという案が頻出します。

制度が頭打ちになると外から持ってくるという発想が浮かびやすくなります。

一方で、制度には歴史があって、単純に制度設計を
そのまま導入してもうまくいくとは限りません

先ほど例に挙げたイギリスの二大政党制や両院制も
ただの真似では上手くいかなかったでしょう。

そのような観点からも、日本が考え方を取り入れている国について知ることは大切なことと言えそうです!

紳士の養成所【パブリックスクール】

イギリスにおける教育制度の代表がパブリックスクールです。
パブリックスクールの詳しい解説については、
本書を参考にしていただきたいと思います。

イギリスは歴史的に、学問よりも人格形成に重きを置いています。
特にイギリスは伝統的に厳格な階級社会を形成しています。
生まれながらにして職業は決められ、受けられる教育水準にも大きな差があります。

当然、上流階級₍アッパー・クラス₎ほど「良い教育」が施されます。
ですが、この「良い教育」という考えが日本とは異なっているように思います。

例えば、パブリックスクールの特徴について、
本書では以下の点を指摘しています。

自分の寮に対する忠誠心を培い、さらに、スポーツを健全な忠誠心の表現として奨励したのもパブリックスクールの特徴だった。

紳士を構成する基準に、身体の強さを含めていたことが分かります。

一方で、現在日本に存在する教育レベルの確保と
生活の質の問題については共通しているものもあります。

イギリスでは教育は主に階級と関連があるからだ。プチブルとワーキング・クラスを分ける最もはっきりした線は、前者が教育に金をかけるということであり、ブルジョワジーの中でも、「パブリック・スクール」と「プライベート・スクール」にもまた、越えることのない溝がある。

日本においても、最低限の教育に関しては無償で受けることができますし、
奨学金等の援助を受けることもできます。

その一方では、全員が義務教育を受けられるのであれば、
お金を払って学校外で教育を受ける機会を確保しようという動きは当然出てきます。

それが塾などの教育サービスであり、
私立学校に進学するという選択肢の存在自体にもつながっていきます。

小学校や中学校というレベルで教育の機会の足並みをそろえても、
その先の学問については、越えられない壁が金銭面で存在しています。

「学校物語」というジャンル

イギリスには教育制度に関する特徴ゆえの分化も根付いています。
それがパブリックスクールを舞台にした学校物語です。

パブリックスクールは単純な知識の寮よりも礼儀や上下関係、
肉体的強さや忠誠心などが重視されます。

上級生が下級生をパシリに使ったり、いじめのようなことも頻繁に起きていました。
教師によるむち打ちなどの体罰も日常茶飯事です。

また、かつてのパブリックスクールは、
男児のみが寄宿舎制の下で進学するものだったため、
寮内で同性愛等が広がります。

今のように同性愛に対する理解はありませんから、見つかれば即退学です。

かつてのパブリックスクールは、
現在想像する紳士のイメージとは結び付きにくいものがあります。

しかも極一部の上流階級層しか進学できませんから、
市民にはなおさら想像もできない世界でした。

そんなパブリックスクールの生活を描いたのが学校物語です。
学校物語はワーキング・クラスの子供にまで親しまれ、
イギリス文化には無くてはならない存在でした。

自分たちとは異なる環境の話を面白おかしく楽しんでいたようです。
日本でも不良学校の話は人気がありますよね?

実際にはそこまで悪い学校は現在の日本には少ない上に、
教師の情熱だけで犯罪行為からかばうことは難しいのが現実です。

それでも浮世離れしているがゆえに、
長きにわたって楽しまれている側面もあります。




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制度の裏側を知った上で検討しよう

直接的にパブリックスクール的な制度を取り入れることはないでしょう。
むしろイギリスは、階級による教育機会の不均等は是正する方向に動きました。

しかし、パブリックスクールだけでなくても、
海外の学校で行われている制度を、そのまま日本に移植することは必ずしもプラスにならないかもしれません。

歴史の流れや民族性、社会制度などが複雑に絡み合うのが教育です。
多様な観点から教育を学ぶということがまずは必要だと感じさせられる1冊でした!

このように、当ブログでは教育問題を中心に、
様々な社会の問題を取り扱っています。

Twitter₍@maroandmeru₎でも、
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