教育関連

書評⑯:「国語教育の危機」

センター試験が無くなるよ!

2020年度からセンター試験が廃止されます!
長年受験生が目標として、対策を立てていたセンター試験が廃止されることで大学受験は新たな局面を迎えようとしています。

実際に一斉テストが無くなるわけではなく「大学入学共通テスト」と名前が変わり、試験内容が変化します。

ちなみに、2018年度のセンター試験受験者は58万2269人です!
50万人の受験生に影響を与える、センター試験の廃止は大きな影響を与えます。

実際に、様々な学習塾で既に対策が取られています。
大学受験生の指導を行っている河合塾では、「大学入学共通テスト」対策と称して、新入生集めに奮闘しています。

今回ご紹介する本は、この試験の変更に関して論じている1冊です。
紅野謙介氏の「国語教育の危機」になります。

試験はどのように変わるの??

「2020年教育は変わります。」というキャッチフレーズのCMを見たことのある人も多いかと思います!
小学館が香川照之さんを使ったCMですね。

ここまで大きく教育の変化を宣伝することは非常に珍しいです。
というのも、センター試験の廃止は「学習指導要領の改定」に伴ったものだからです。

約10年単位で改定されているのですが、そのタイミングがやってきました。

大学受験だけでなくその他の学校種でも改定があるのですが、今回はご紹介する本との関連から「大学入学共通テスト」について簡単にご紹介します!

英語の試験の未実施
マークシートに加えて一部記述式を追加

大きく分けてこの2つが特徴になります。
英語の試験に関しては、従来のセンター試験だと「書く」「話す」力が測定できません。
そこで国が認定した民間試験の試験を活用してもらって、その結果を用いて英語の能力を測定しようとしています。

国語」「数学Ⅰ」「数学Ⅰ+A」では、記述式が大問1つ分程度増加されます。

本書では、この国語科の試験方式の変更に関して著者の意見を述べた内容になっています。



国際的調査への迎合

学習指導要領の改訂の背景には、国際的な学力調査であるPISAの結果が関わっていると言われています。

試験で日本は「読解力」に関する問題の正答率が良くありませんでした。
その他の領域と比べて、かなり順位を落としてしまっていたのです。

この結果を受けて日本の子供の読解力低下に歯止めをかけるために、学習指導改定と試験の変更に取り組んでいると言われています。

試験結果に右往左往している印象はありますが、試験結果を受けて改善策を講じることは自然な流れに感じます。

ブチ切れている作者!!

とにかく作者は本書内で怒っています。
ほとんど全てに反対しているといって過言じゃないですね!

今回の試験の廃止・新テストの実施に際して、既にプレテストが実施・公開されています。
気になる方は公式のホームページで見られますのでぜひ・・・
大学入試センター公式HP

本書では国語の試験に関して、作者が一問一問について資料・問題文・選択肢・解説を入れてあります。

ほぼすべての問題を酷評していますね(笑)
意味不明」や「中学生対象レベルの設問」など、なかなかに辛辣なコメントが並んでいます。

ゴールありきの変更

私は国語の専門ではありませんが・・・
(英語に関する教員免許を持ってます)

作者の意見に共感できる部分もあります。
基本的に教育改革は全て、現場外の意見を基に行われます。

先ほどの国際調査に関しても、政府内で結果に衝撃を受けて、何とかしなくてはと狼狽しているところがあるのだと思います。

読解力が低いんだから、試験で記述式問題を増やそう!

という大学入学共通テストという「ゴール」を設定して、無理やり学習指導要領の改定に舵を切っていると言えます。

実際に大学入学共通テスト(現行のセンター試験)を変えることで、子供の能力が変わるでしょうか?

著者はこの件について以下のように考えています・・・

数十万人を相手にしたただ一回の記述式問題でいったいどれほど変わるのか、はなはだ疑問に思います。

この意見が、多くの現場で働く人の意見だと思います。
そもそも、記述式問題は学校の定期考査で出題されませんでしたか?

授業時数の確保や教材の提供、教職員の教材研究の時間の確保など、働き方改革をはじめとする現場の負担軽減を図るべきです。

子供のためじゃなくて国のメンツのため

試験内容がどんどん複雑化、高度化するだけ子供への負担は増加します。
大学入学共通テストでも、記述式を導入する分試験時間が数十分長くなります。

子供の能力を向上させるために負担を増加させることは、必ずしもイコールではないと思っています。
詰め込みとゆとりを行ったり来たりする教育改革は不要です。

著者の提案する「小論文形式の課題を取り入れる」等、授業内での工夫によって改善を図ることを目指す方が良いと思います。

生徒に課す「負担」が増えれば増えるほど、個性の伸長にかけられる時間は減少します。
机上の勉強だけが社会貢献に繋がるでもなく、有用な人材の育成に直結するわけでもありません。

国際調査の結果にたじろいでしまうことは、目指すべき能力の画一化につながります。
これでは、現在求められている「多様な社会」からは離れていってしまうのではないでしょうか。

本書を読んでそう感じました。

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