社会問題

日本の「飛び級制度」を海外と比較!今後の導入に向けた課題【教育】

この記事では、
「日本における飛び級の実情」
「海外で行われている飛び級」
についてまとめています。

日本における飛び級制度は、
現状では存在していないことと大差ないのが実情です。
法律的には飛び級が可能にもかかわらず、
その制度は形骸化していると言えるでしょう。

一方で海外の主要国では、
積極的な飛び級制度の活用を行っている国もあります。
飛び級を可能にしている背景にはどのような要因があるのでしょう。

日本とアメリカ・ヨーロッパ主要国の飛び級制度を比較することで、日本の制度との違いを明らかにしていきます。
そして、日本で飛び級を現実的にするために必要な要素を考察していきます。

日本における飛び級制度の実情

冒頭で触れたように、
日本でも法律的には飛び級は可能ですし、
実際に飛び級を実現した日本人はいます。

飛び級を可能にする法的根拠は、
学校教育法に明記されています。

いわゆる「飛び入学」とは、
特定の分野について特に優れた資質を有する学生が高等学校を卒業しなくても大学に、
大学を卒業しなくても大学院に、それぞれ入学することができる制度です(法第90条第2項、第102条第2項、施行規則第151条、第152条、第153条、平成13年文部科学省告示第167号)。

 大学への飛び入学であれば、
高等学校に2年以上在学した者(またはこれに準ずる者)で、
大学が定める分野で特に優れた資質を有する者が、
大学院への飛び入学であれば、大学に3年以上在学した者(またはこれに準ずる者)で、大学院が定める単位を優秀な成績で修得した者が飛び入学することができます。

 ただし、飛び入学生を受け入れる場合、大学(大学院)も必要な要件を満たしている必要があります。

参考資料:文部科学省HP

高校に2年間は在籍しないといけないので、
17歳までは通常の教育課程で授業を受ける必要があります。

飛び級を実施している日本の大学

生徒側だけでなく、
大学・大学院側にも一定の条件が課されていて、
今の日本で飛び級による入学が認められているのは以下の大学のみです。

・千葉大学(国立) 文学部・理学部・工学部
・名城大学(私立) 理工学部
・エリザベト音楽大学(私立) 音楽学部
・会津大学(公立) コンピュータ理工学部
・日本体育大学(私立) 体育学部
・東京藝術大学(国立) 音楽学部
・京都大学(国立) 医学部

学部名から分かるように理系や芸術分野など、
専門性が強く求められる分野において飛び級による入学が認められています。

実際に、日本における飛び級に関する議題は数十年前から取り上げられています。

例えば林伝一郎氏の記事によると、
1982年の全国普通科校長会の調査で80%が飛び級に賛成と回答しているとあります。

長年教育現場では飛び級の導入が検討されていますが、
現在までその制度が現実的に運用されていない流れがあります。





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海外主要国の飛び級制度

日本でも飛び級は可能ですし、
飛び級要件にも無理難題があるわけではありません。

「特に優れた資質を有する」という点が基準が曖昧なため、
飛び級制度を活用する選択肢自体が上がりにくいことは考えられます。

それに対して海外の飛び級制度はどうなっているのでしょうか?

アメリカ

飛び級が頻繁に行われる国として挙がるのがアメリカです。

アメリカでは日本のように大学・大学院に限らず、
早期入学や学年飛ばしでの学習が行われます。

考え方の根本には、
発達段階に合わせて適切な段階の学習を受けるべき」という思想があります。

加えて、飛び級をした子どもたちの満足度が高く
国全体として飛び級を肯定的に捉えていることが分かります。

In a study of high-ability children who had been accelerated, 71% reported satisfaction with their acceleration experience.  Of the participants who reported they were unsatisfied, the majority indicated they would have preferred more acceleration.   In addition, in a series of interviews with students who were accelerated, an overwhelming majority of these students said that acceleration was an “excellent experience” for them.

参考記事:National Association For Gifted Children

ある調査では、
飛び級を経験した人の71パーセントが満足していると答えています。

更に不満と答えた人の大半は「もっと大きく飛び級したかった」と回答しています。

学問に関しては非常に満足した結果が得られていることが分かります。

とりわけ日本で問題視される
社会性の発達」について見解が示されています。

Some argue that acceleration can be harmful to students’ self-concept, ability to fit in with older peers, or other social-emotional needs.  However, research on acceleration has demonstrated multiple academic benefits to students and suggests that acceleration does not harm students.  As the National Work Group on Acceleration determined, there is “no evidence that acceleration has a negative effect on a student’s social-emotional development

赤字の部分が示すように、
飛び級が社会性の発達に悪影響を与える根拠は見つかっていません

ドイツ

続いてがドイツです。
ドイツは日本とは教育制度自体がかなり異なります。

日本の小学校から高校まで、
継続的に捉えるので12年生という言い方がされています。

そこに飛び級や留年が入りますから、
多様な年齢構成による学年が形成されていることが考えられます

更に大学入学に関する年齢制限₍下限₎が無いため、
大学への早期入学者も多くなっています!

アメリカもドイツも法整備の特徴として、
年齢と学年₍学校種₎に関する規則が緩いことが挙げられます。

イギリス

日本に近い制度として挙げられるのがイギリスです。
実はイギリスも制度上は飛び級可能です。
実際に飛び級に関する記事もネット上にたくさんあります。

ですが、あまり行われていないのが実情だと考えています。
確信のもてる理由はありませんが、
ソースの明確な記事では圧倒的に「実態として行われていない」という記載が多いです。

そこで記事を引用しながら見ていきましょう。

・飛び級に関する規定はない。理論的に可能であるが実態としては行われていない。
・16歳GCSE受験について年齢制限はなし。GCE試験受験についても年齢制限なし。
大学の面接受験(成績次第で入学可。入学資格としての年齢制限はない。)

参考記事:二宮 皓 比治山大学・比治山大学短期大学部学長
学校制度-諸外国との比較₍教育再生会議₎

教育再生会議で扱われた資料ですので、
かなり信用のおける記述だと思います。

ここから、日本とはかなり近い教育環境が存在していることが分かるかと思います。

一方では現地の記事だと、
飛び級の拡大が求められていて、
2019年9月より大学において飛び級を基にして、就学期間の短縮が推進されることとなるようです。
₍参考記事:GOV.UK

その理由がアメリカやドイツとは大きく異なります。

Legislation has been passed in the House of Lords, following approval from the Commons last week, which means students studying shorter university courses – such as three-year courses condensed into two – would save 20 per cent on tuition fees compared to traditional courses.  For example, students who opt for a two-year degree will save at least £5,500 in total tuition costs compared to a standard three-year course.  The regulations will now go to the House of Lords for approval.

就学期間を短くすることで、授業料が少なくなり
負担が軽減されるということが主な目的のようです。

中国

中国の教育制度に関しては、
「ちょーさん」がまとめられている
DoYa!!Chinaブログ」で詳しくまとめられています。

こちらによると、
中国の義務教育制度は日本と同じ小学校相当6年間、中学校相当3年間になっています。

飛び級制度に関しては、
飛び級専用の試験」が設定されていて、
積極的に運用されているようです。

中国の場合は政治体系も日本とは大きく異なるため一概には比較できませんが、やはり能力に応じて飛び級が行われている実態があります。





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日本の飛び級制度の積極的な利用には

先進国では教育体系は様々ながらも
飛び級制度に関しては積極的に容認する傾向が強いようです。

それでは日本でもいずれ飛び級が一般的になるのでしょうか?

日本では依然として「学年と年齢」をセットで考える向きが強く、飛び級制度の一般化には大きな課題が山積しています。

少人数・段階別指導が一般的になってきている

飛び級を妨げるものの一つに、
少人数・習熟度別指導が推進されているということが挙げられます。

学校種をまたぐものは別としても、
同校種内であれば、現行の少人数指導や段階別指導が飛び級代替的になり得ます。

レベル別にしてドンドン進められる子は応用的な内容を、
基礎から取り組む必要がある生徒は一からしっかりと、
という役割分担ができています。

飛び級が一般的になればこのような制度は不要になります。
高いレベルであれば上の学年で学ぶことになるからです。

飛び級は留年とセットでしか成り立たない

飛び級を一般的に導入するためには、
留年もセットで一般的にしなくてはいけません。

上の学年に飛び級しても、
そこには勉強が嫌いな人達ばっかりだったら意味がありません。
ただ年上の人たちと一緒に勉強するだけになってしまいます。

日本のような、
偏差値による輪切り式の学校編成では、
どの方向に飛び級するのが良いのか難しい問題になります。

部分的飛び級・留年の導入

もし日本で飛び級を一般的にするなら、
教科によって上の学年で学習する、下の学年で学習するといった
かなり弾力的な配慮が必要と考えています。

それでも学校種を超えての飛び級は難易度が高いと言えます。
小学校・中学校間を9年間一続き₍義務教育学校₎にして、
その中で柔軟に教育課程を適用することが現実的な選択肢かもしれません。

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